●11_『ねこのおうち』柳美里
ねことそのおうちの小説で、
ニーコのおうち
スワンのおうち
アルミとサンタのおうち
ゲンゴロウとラテとニーコのおうち
という章立てになってます。
全部の章がゆるやかにつながってます。
私はねこが特別に好きではない、どちらかというといぬ派だし。
でもいつも、すっと生きてる近所ののらねこの姿は、ひそかに尊敬している。
そんな私がこの本を手に取ったのは、後輩に読みます?と手渡されて
じゃあ…となったからだ。動機はそんな強くない。
でも、全部読んでみて、ちゃんとおいしいものを食べたような気持ちになった。
本の構成としてもお話としてもおもしろい。
いろんなおうちがでてくるけど、それぞれの歪み方とかしょうがなかったんだろうな…感とか、なるほどと思う。
そしてちょっとずつそれぞれのおうちがリンクしているようすが(みんな同じ町の住人なのです)、すごくリアルだった。
お互いのおうちの事情って少し関わっただけだと見えないから、基本は憶測をするかそこまで思いを馳せないのが通常だと思う。
でも小説では視点を変えて話を展開していくことができるから、ん?って思ったおうちの背景やその後などが見えてなるほど、ってなるし、実際の世界もそこが見えずに関わっているんだろうなという気付きがあった。
その上で、ねこという自分の生を全うするのみの存在がかかわって、おうちの人たちが助けられる様子がほわっと描写されている。
ねこ好きでもそうじゃなくても、おすすめです。